「時間を守る」 [やりがい論]
田中和彦氏の『やりがい論』より。
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「時間を守る」という「小さな約束」の積み重ねが、「信用」になる。
人間が生きている間に、一番数多くしている約束事―。 それは、実は「時間を守る」ということです。
「ちょっとくらいの遅刻」を仕方ないと軽く考える者は、その「ちょっとくらいの遅刻」で信用を失います。
「ちょっとくらいのこと」に決して慣れてはいけないのです。
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残念ながら、この「ちょっとくらいのこと」に慣れている人が圧倒的に多い。拙著『プログラマー現役続行』の「人は見ていないようで見ている」(p.157)で、私自身は次のように述べている。
20代、特に新卒新人として配属されたときは、誰よりも早く出社する習慣が必要です。ギリギリにしか出社しないようであれば、自分で時間管理ができないと見なされてもおかしくありません。そのような人に限って、朝の会議の時間ギリギリに会議室に入ってきたりします。
当人は、ギリギリ間に合ったとほっとしているかもしれませんが、そのようなことを繰り返していると、時間にルーズな新人だと見なされるだけです。人は見ていないようで見ているもので、誰々はいつも時間を守って余裕を持っているが、誰々は時間管理がだらしないと、評価はすぐに職場中に広がります。
「時間を守る」というのは、業務だけでなく非業務での勉強会などでも同様である。自主参加の勉強会だからと言って、遅れてきてもよいということはない。しかし、「ちょっとくらいのこと」に慣れてしまっている人は、平気で遅れてきてしまう。この「時間を守る」という一点さえもきちんとできないと、たとえ、他のことが良くても、全面的な「信用」を得るのは困難となってしまう。
残念ながら、「ちょっとくらいのこと」に慣れてしまった人が、「時間を守る」ように改善された例を私はあまり見たことがない。
書籍『やりがい論』 [やりがい論]
蔦谷書店で、購入した。内容としては、やはり、若い人達に読んでもらいたい書籍である。
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最初に「使える奴」と思われた者が、誰より早く一人前になれる
仕事というものは、誰かに頼まれたときに、いい仕事をして結果を出せば、必ず次の仕事が来る。逆に、結果を出せなければ、もう二度と次の仕事を頼まれることはない。だから、ある意味では仕事の報酬というのは、次の仕事のことなのだ、と
しかも、次の仕事は、「使える」と思われた者から順に下りてきます。次の仕事がくれば、その仕事はさらにその人を鍛えてくれることになります。つまり、その分野で誰より早く一人前になれる気合いをもらえるわけです。
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拙著『プログラマー現役続行』の「最初の一年が勝負」(p.237)でも、次のように述べている。
「この先、伸びる」と判断されると、必然的に「もっと伸びてほしい」と思われて、徐々に難易度が高い仕事が与えられるようになります。そして、その仕事をこなせば、さらに高い難易度の仕事といった具合に、本人の能力を伸ばすように仕事が割り当てられるのです。しかし、「この先、伸びない」と判断されれば、必然的に難易度を落とした仕事が回されるようになります。その場合でも、その仕事がきちんとできれば、「やればできるじゃないか」と思われて、次は多少難易度が高い仕事が回されることになります。
しかし、難易度の低い仕事すらできないと、さらに難易度が落とされていくことになり、最終的には「仕事をさせないほうが、チーム全体として生産性が高くなる」と判断されることもあります。
田中氏の説明は、私自身の主張と同じであり、田中氏はさらに次のように述べている。
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次もまたチャンスがあるだろうなどと思って、決して手を抜くな。誰から頼まれた仕事であろうと、常に真剣勝負のつもりで取り組め。最初に ”使える奴” だと思われれば、それで5年は飯が食える。その代わり、あいつは ”使えない” と思われたら、それを取り戻すのには、やはり5年はかかる。
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拙著の「最初の一年が勝負」でも、私自身次のように述べている。
人が受ける第一印象と言うのは、その人の過去の経験に基づいていたりしますので、意外と当たっていることが多いです。そして、最初に悪い癖を持っているという印象を与えてしまうと、それを払拭するには、かなりの努力が必要です。
したがって、最初の一年が勝負と言っても過言ではありません。つまり、その一年間に社内教育や仕事にきちんと取り組んで、「最初は駄目な新人だと思ったが、この先、伸びそうだ」と判断されるようになる必要があります。
田中氏が述べるように、一度 ”使えない奴” と思われたら、それを払拭するにはかなりの努力が必要である。残念ながら、この点の認識がないまま、学生感覚で仕事に取り組む人が多い気がする。たとえ、本人は頑張っていますと言っても(思っても)、結果がでなければだめである。そして、「有能であるとは」(拙著p.242)、
与えられた仕事をこなすのは当然であり、そのことだけで有能とは認められなく、期待以上の成果、たとえば、120%程度の成果を上げて、初めて上司から有能だと認められるということです。
ソフトウェア開発であれば、動作確認を行っていることは当然のこととして、常にきちんと読みやすくコードを記述していて、エラー処理も常に適切に行われいるなど、若手がきちんとできるとは上司が思っていないことを、期待以上に行うことです。
同じことを田中氏は、次のように表現している。
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「期待は少しでもいい方に裏切る」ことです。「やって当たり前」以上のことを積み重ねていくのです。
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