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伸ばすのが難しい能力(3) [プログラマー現役続行]

伸ばすのが難しい能力(2)」の状況から、技術負債を返却して、API仕様ファースト開発への手順については、「実践API設計」で述べています。

WEB+DB PRESS Vol.134

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  • 出版社/メーカー: 技術評論社
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記事では書いていませんが、「第5章 API仕様の技術的負債の返済」で述べている返済を実行する上での課題は、多くのソフトウェアエンジニアは、経験したことがないことなので、そのメリットを十分に理解できないことです。そのため、実際に行ってみる強い動機を持って、実践できる開発者はとても少ないと思います。

このような状況を改善にするには、私の経験からは、「やってみせるしかない」ということです。私自身がウェブサービスに本格的に従事し始めたのは、2018年6月にメルペイ社へ入社して、加盟店様向けのマイクロサービスを一から開発することを担当したときです。

「第3章 API仕様ファースト開発」で説明している手順で開発しました。その大枠の手順は、次の図(第3章の図1)で示されています(詳しいくは記事を参照してださい)。

図1 API仕様ファーストでの開発順序
03_01.png

初めてのウェブサービス開発ではありましたが、この手順が私にとっては素直な手順であり、これを実施して最初のマイクロサービスを開発しました。

その後、メルペイ内では、チームを移動していくつかのマイクロサービスの開発に従事したのですが、その多くが以下の状態でした(「第5章 API仕様の技術的負債の返済」参照)。
  • サービスのAPIに対する仕様が記述されていない
  • サービスのAPIをテストする自動テストが存在しない
単体テストは多数あっても、開発しているマイクロサービスが提供するエンドポイント(gRPCのRPCエンドポイント)を直接呼び出してテストするテストコードが存在しないという状況でした。

そのため、新たなチームへ移動するごとに「第5章 API仕様の技術的負債の返済」で述べている内容を繰り返し、一緒に開発している他の開発者にも実践してもらうように働きかけてきました。

ただし、E2Eテストフレームワークの構築は、私自身で行いました。そうやって作成したE2Eテストフレームワークは、どのマイクロサービスからも使えるように独立したライブラリとして退職前には構築しました。

このような活動の結果として、最後にいたチームでは、既存機能の修正や新規機能の追加に際しては、かならずきちんとしたAPI仕様を記述し、そのエンドポイントを呼び出すE2Eテストを作成するということを普通に行ってもらえるようになりました。

ここでの重要な点は、残念ながら「API仕様ファースト開発」はやってみせないと広がらないということです。カウシェで働き始めてから一年近くなりますが、カウシェでも今では定着しています。
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