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技術者の技量の評価軸 [プログラマー現役続行]

多くのソフトウェアのトップ企業においては、その企業のトップは、ハードウェアやソフトウェアの開発経験者です。たとえば、マイクロソフト、オラクル、グーグル、アップルなどは、開発経験者がトップとなって会社をリーディングして成長させています。そして、実際にトップが現場にソースコードを見せろと言ったりしたこともあるという話も読んだことがあります。

開発経験が全くない人がソフトウェア開発組織をリーディングすることは可能なのでしょうか。開発経験が全くないということは、その組織のメンバーの技量を的確に判断できないことになるのではないかと思います。たとえば、エンジニアを一人一人、短い時間面談したとして、エンジニアとしての技量を知ることは無理だと思います。実際、開発経験があっても短い時間で判断するのは難しいです。ある程度、その人と一緒に開発をしてみないと、その人のレベルは分からないことが多いです。また、実際にどのような開発プロセスでソフトウェアを開発しているかを聞き出して、そのプロセスのどの部分を改善すべきかを指摘することも困難だと思います。

一般に、どのような分野においても、レベルが低い人がレベルが高い人を評価することはできません。レベルが自分よりどの程度高いかを知ることはできないからです。最悪、自分のレベルの範囲でしか評価できなかったり、その狭い範囲の中で評価軸が決まってしまったりします。

たとえば、拙著『プログラマー現役続行』では、第5章「継続した学習」において、「会社に頼ることなく」自分の時間とお金を投資して、継続して学習する必要性を述べています。しかし、開発経験がないということは、エンジニアが継続して学習することの重要性を理解していない可能性があります。その場合には、組織のエンジニアに対して、「業務以外にどのような技術に興味を持っていて、その興味がある技術に対して何か学習しているか」と聞いたりすることはないかと思います。そうなると、エンジニアとしての技量を評価する際の評価軸に「継続した学習」は含まれないことになります。

プログラマー現役続行 (技評SE新書)

プログラマー現役続行 (技評SE新書)

  • 作者: 柴田 芳樹
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書

拙著『プログラマー現役続行』では、必要な7つの力を述べています。
  • 論理的思考力
  • 読みやすいコードを書く力
  • 継続学習力
  • コンピュータサイエンスの基礎力
  • 朝型力
  • コミュニケーション力
  • 英語力

これらすべてを、きちんとこなすことの難易度は高いかもしれませんが、私にとっては、技術者の技量を知るための評価軸の一部であることには間違いありません。これまでもそうであったように、これからも、これらは、私自身が現場のソフトウェアエンジニアに対して求めることであることには、変わりはありません。


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