SSブログ

継続的学習(4) [プログラマー現役続行]

勉強会を開催する

私自身が会社で朝の勉強会を開催するようになったのは、1998年です。つまり、30代終わりの時でした。それまでは、一人で技術書を読むという学習でした。勉強会を開催するようになったと言っても、それは、週に1回程度ですので、一人で技術書を読むというのは続けていました。

もともと朝型なので、勉強会は朝ということで、始業前の1時間ということで開催してきました。フレックス勤務の頃であれば、コアタイム前の1時間ということで、朝の8時30分からでした。フレックス勤務でない場合には、朝の7時40分からです。

私が過去開催してきた勉強会では、読んだ書籍の多くが英語でした。最初が『The Java Programming Language, Second Edition』であり、この第2版は翻訳されていません。英語の書籍となった理由は、私自身がだいたい英語の書籍を読んで学習していたからだと思います。29歳になった1988年11月から4年半は米国で暮らしていましたので、購入する書籍も英語でしたし、帰国してからも主に英語の書籍でした。

英語の書籍の勉強会では、できるだけ新刊を選んで勉強会を開催しています。勉強会が終わった後に、翻訳が出る本もありますし、勉強会の途中で翻訳がでる本もあります。また、翻訳が出ていない本もあります。

勉強会の期間も様々です。薄い本だと半年ですし、多少厚いと1年だったり、それ以上だったりします。会社で行った勉強会で最も長かったのは、3年でした。それは、次の本です。

Introduction to Computing Systems: From Bits & Gates to C & Beyond (Computer Engineering)

Introduction to Computing Systems: From Bits & Gates to C & Beyond (Computer Engineering)

  • 作者: Yale Patt
  • 出版社/メーカー: McGraw-Hill Science/Engineering/Math
  • 発売日: 2003/08/05
  • メディア: ハードカバー

この本の勉強会は、当初は自発的な勉強会ではなく、2004年度に私が属する事業部に配属された新卒新人全員に対して業務扱いで始めたものです。

この書籍は、前半でコンピュータの仕組みを学ぶ内容となっています。それも、トランジスタから始まって、基本的なANDやOR回路、フリップフロップ、メモリ回路、ALUなどを順次説明していき、最後は、16ビットのコンピュータのCPU回路まで説明していくというものです。練習問題も多く、勉強会では、基本的にすべての練習問題に取り組んでもらいました。

当初は、週に3回も開催していたので、予習が追いつかないという状況だったようです。それで、途中から、週1回に変更しました。

書籍の前半が終わった時点で、後半への参加は、必須ではなくしました。後半は、C言語が解説してあります。しかし、C言語の単なる説明ではなく、コンパイルするとどのような命令が生成されるかや、関数呼び出しでスタックはどのように使用されるのかとかが解説されています。後半も、練習問題をすべて行いながら勉強会を続けました。

3年を要した勉強会としては、もう1つあります。それは、月に1回、土曜日に開催したものです。そこでは、次の本を読みました。

Understanding the Linux Kernel

Understanding the Linux Kernel

  • 作者: Daniel P. Bovet
  • 出版社/メーカー: Oreilly & Associates Inc
  • 発売日: 2002/12/01
  • メディア: ペーパーバック

この本の勉強会では、途中で翻訳が出たので、翻訳本でもOKということで、英語版を読む人と、日本語版を読む人と混在で進めました。

様々な書籍の勉強会を開催してきましたが、私のスタイルは、原則次の通りです。
  • 事前に割り当てをしたりはしない。割り当てられた部分を予習しなければならないと、それ自体が負担となり、勉強会に参加しなくなるからです。しかし、英語の書籍の場合には、ある程度、知らない単語ぐらいは事前に調べてくることは期待しています。
  • 勉強会では、基本的に全部読んでいきます。英語の書籍の場合には、頭から区切りながらでよいので、訳しながら読んでいきます。
参加者の英語力で問題なのは、文法力です。不明な単語は辞書を引けば分かりますが、構文を理解できなければ、文章を理解できません。それも、中学3年生までの英文法で習う構文の知識を駆使して、頭から読みながら構文を読み取れるかです。

会社内の勉強会を始めたのが39歳の頃です。今から振り返ってみると、米国から帰国した33歳の頃から始めたら良かったのかもしれません。しかし、その頃の私は、技術書の勉強は、各人がきちんとやるべきであるという考え方が強かったので、勉強会を開催するという発想はできなかったと思います。若手の育成に関して、考え方が変わったのは、1996年9月に日本オラクルへ転職してからです。

そう考えると、会社組織の中で自発的な勉強会が開催されていないのは、次のような理由によるのかもしれません。
  • 業務に必要な知識の学習(教育)は、会社が提供して当然、あるいは、業務時間に勉強するものだと思っている人が多い。
  • (あるいは)業務に必要な知識は、各人が自発的に学習すべきものであり、勉強会などを行う必要はないと思っているマネージャ/リーダが多く、マネージャ/リーダが自分で率先して勉強会を開催し、自発的に学習する組織を構築する必要性を感じていない。
会社での勉強会で重要なもう1つの点は、会社の会議室が自由に使えることです。たとえば、勤怠管理上、業務時間と会社施設への入退出時間との間に大きな差があってはいけないとなると、会社での勉強会は開催されなくなります。もちろん、サービス残業と明確に区別できる仕組みは必要だとは思います。しかし、勤怠管理が厳しくて、会社で勉強会を開催できませんという話を聞くと、もう少し何とかならないのかと思います。