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最初の一年が勝負 [プログラマー現役続行]

拙著『プログラマー”まだまだ”現役続行』の第11章「若い人たちへ」からの抜粋です。

最初の一年が勝負

 ソフトウェア業界でプロフェッショナルとして活躍していくには、新卒で就職してから最初の一年が重要です。何も知らないうえに自分から勉強しないような新卒だったりすると、すでに多くの経験と知識を有し勉強を続けている技術者からは、「この先、伸びないな」と判断されてもおかしくはありません。
 特に、会社で実施してくれる社内教育を、大学教育の延長の感覚で受けているようでは、まったく駄目です。おそらく、大学以上に真剣に勉強し、悩みながら、自分の知識としてその場で吸収する心がけで臨まなければなりません。
 入社して最初の数ヶ月、あるいは半年の教育で教えられたものが、ほとんどすっぽり頭から抜け落ちているようでは、「この先、使えないな」と思われても仕方ないでしょう。
 また、社内教育で与えられたプログラミングの課題について、自分で考えようとせず、ひたすら答えをグーグルで検索することしかできないようでは、「自分の頭で考えることのできない、創造性のない人だ」と判断されることになります。「この先、伸びる」と判断されると、必然的に「もっと伸びてほしい」と思われて、徐々に難易度が高い仕事が与えられるようになります。そして、その仕事をこなせば、さらに高い難易度の仕事といった具合に、本人の能力を伸ばすように仕事が割り当てられるのです。
 しかし、「この先、伸びない」と判断されれば、必然的に難易度を落とした仕事が回されるようになります。その場合でも、その仕事がきちんとできれば、「やればできるじゃないか」と思われて、次は多少難易度の高い仕事が回されることになります。
 ところが、難易度の低い仕事ですらできないと、さらに難易度を落とされていくことになり、最終的には「仕事をさせないほうが、チーム全体として生産性が高くなる」と判断されることもあります。

学生時代についた癖を直す

 人間の思考パターンや行動パターンを変えることは容易ではありません。それは、社会人となって働き始めても、急に変えることはできないようです。
 そのため、学生時代に身についてしまった悪い癖は、かなり意識して最初に直す必要があります。特に最近の若い人に多いのは、自分の頭で考えることなく、グーグルで答えを検索してそれを写すことばかりする、という癖です。
 採用面接では、このような癖まで見抜くことは困難です。しかし、実際の職場の先輩たちは、最初にある程度指導するだけで、この悪い癖を直感的に見抜いてしまいます。そして、「何でもグーグルで検索して答えを探せばいい、という習慣を長年続けてきた結果、自分の頭では何も考えることができなくなってしまった人」という悪印象を最初から持たれてしまうことになります。
 人が受ける第一印象というのは、その人の過去の経験に基づいていたりしますので、意外と当たっていることが多いです。そして、最初に悪い印象を与えてしまうと、それを払拭するには、かなりの努力が必要です。
 したがって、最初の一年が勝負といっても過言ではありません。つまり、その一年間に社内教育や仕事にきちんと取り組んで、「最初は駄目な新人だと思ったが、この先、伸びていきそうだ」と判断されるようになる必要があります。

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