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悪い印象の払拭 [プログラマー現役続行]

プログラマー”まだまだ”現役続行 (技評SE選書)

プログラマー”まだまだ”現役続行 (技評SE選書)

  • 作者: 柴田 芳樹
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2010/09/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

第11章「若い人たちへ」からの抜粋です。

学生時代についた癖を直す

 人間の思考パターンや行動パターンを変えることは容易ではありません。それは、社会人となって働き始めても、急に変えることはできないようです。
 そのため、学生時代に身についてしまった悪い癖は、かなり意識して最初に直す必要があります。特に最近の若い人に多いのは、自分の頭で考えることなく、グーグルで答えを検索してそれを写すことばかりする、という癖です。
 採用面接では、このような癖まで見抜くことは困難です。しかし、実際の職場の先輩たちは、最初にある程度指導するだけで、この悪い癖を直感的に見抜いてしまいます。そして、「何でもグーグルで検索して答えを探せばいい、という習慣を長年続けてきた結果、自分の頭では何も考えることができなくなってしまった人」という悪印象を最初から持たれてしまうことになります。
 人が受ける第一印象というのは、その人の過去の経験に基づいていたりしますので、意外と当たっていることが多いです。そして、最初に悪い印象を与えてしまうと、それを払拭するには、かなりの努力が必要です。
 したがって、最初の一年が勝負といっても過言ではありません。つまり、その一年間に社内教育や仕事にきちんと取り組んで、「最初は駄目な新人だと思ったが、この先、伸びていきそうだ」と判断されるようになる必要があります。
『プログラマー”まだまだ”現役続行』(p.230)
新卒新人に限らず、私を含めて、与えてしまった悪い印象を払拭するのは非常に難しいです。お互いに、判断基準や行動基準が異なっているのがその要因の1つだと思います。当然、その基準差は目に見えませんし、悪い印象を与えてしまった人は、悪い印象を持った人との間にある基準差を理解することは容易ではありません。

ソフトウェアエンジニアとして私自身が重視する基準(行動パターン)は、6年前に出版した初版でも述べています。また、このブログでも色々と述べています。

プログラマー現役続行 (技評SE新書)

プログラマー現役続行 (技評SE新書)

  • 作者: 柴田 芳樹
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書

「勉強しない中堅をどうすれば変えられますか?」というのは、昔から講演などでよく聞かれる質問です。これも、「勉強しない中堅」という印象を与えていることになります。しかし、私からの回答は、「そのような中堅を変えるのは諦めています」というものです。

それでも、今年のJava研修では、40才前の人や私より年上の人が受講して勉強している人もいます。しかし、そのような人々は、私の長い経験からするとかなり例外です。その人達は、研修が終わる頃には知識の点と継続的に学習するという点で成長されるでしょうから、私の印象は良い方向へ変わっていくと思います。

長年、「ソフトウェアエンジニアの心得」教育や講演で話していることですが、2000年の頃に約200人のソフトウェアエンジニアにオブジェクト指向教育を行った時に受講生に聞いた結果、会社の費用でオブジェクト指向教育を以前に受けたことがない人がほとんどだったという話をします。その話をする意図は、技術の学習は会社に依存してはいけないということです。

しかし、長年、会社に完全に依存していると、学ぶ技術は、仕事で使用する技術だけとなったりするかもしれません。その結果、広く普及している技術であっても、本人にとっては未経験の技術を積極的に学習することはないのかもしれません。