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無知の領域を減らす [プログラマー現役続行]

アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得 (THEORY/IN/PRACTICE)

アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得 (THEORY/IN/PRACTICE)

  • 作者: Dave H. Hoover
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

「無知をさらけ出す」(p.39)からの抜粋です。
専門性は、私達が歩む長い道のりの副産物ですが、目的地ではありません。旅をしながら、職人は数知れない技術と領域に取り組みます。必要があったり、興味があったりして、それらの技術の1 つ以上、職人が徹底的に調べる(Dig Deeper)ことを行い、専門性を獲得したらなおさら良いです。 マラソンのトレーニングを行っている走者がより強い脚力を作り出すのと同じように、専門性を獲得するのは期待されていることです。走者は、強い脚力になるようにトレーニングしているのではなく、走るトレーニングをしているのです。やる気のある開発者が2 年間Pythonのプロジェクトで働いた後にPython に関する深い知識を獲得するように、マラソン走者の強い脚力は手段であり、目的ではありません。

専門家によっては、自分の学習、実践、プロジェクトの範囲を狭めて、単一の領域に執着するために自分でできることをすべて行う人もいます。一方、職人は、不慣れな技術を選んだり、新たな領域を学ぶ際に、自分の専門性を脇に退けて、白帯を締める勇気と謙虚な態度を必要とします。

職人が持てる最も重要な特徴の1 つは、無知な領域を特定して、そのような領域を減らすことに努めながら学習する能力です。知識の種を栽培することで、庭の何も無い区画を減らすように、無知の領域を減らすことができます。実験、実践、読書を通して種に水をあげてください。それらの何も無い区画の大きさを恥ずかしく思い、日の光から隠し、自分のプライドを守るために、それらを覆うという選択もあります。あるいは、自分自身やあなたに依存している人達に対して正直であり、助けを求めながら、それらをさらけ出すという選択もできます。

見習い期間が終わるまでには、2、3 の技術について強い知識の糸を持つことになります。それらの糸で、少ない数のプラットフォームや領域上に頑強なソフトウェア・アプリケーションを紡ぐことができます。熟練職人は、無数の糸からタペストリーを紡ぐ能力を持っています。熟練職人は、好きな糸や組み合わせを持ち、糸の数は膨大で、広い範囲の技術環境に対応できます。長い道のり(The Long Road)があなたを導く先は、そのような熟練職人になることです。能力があるように見せかけるよりも、あなたの無知をさらけだし、無知を正面から見据えることで、持っていない糸を素早く紡げるようになります。