書籍『人事部は見ている』 [本]
タイトルとは違って、内容としては人事部という組織がどのようなものであるのか、人事部と会社内の他の組織との関連を、筆者の経験と多くのインタビューに基づいて書かれているものです。
人事部門の役割は会社の規模によって変わり、中小企業と大企業とでは、現場の社員が人事部門をどのように見なしているかや人事部門の仕事をどの程度理解しているかが大きく異なることが述べられています。人事部門を対象とする調査の結果として人事部門に関して次のように述べられています。
仕事ぶりを評価する声は希である。特に従業員数1000名以上の大企業の社員ほど突き放したような厳しい意見が多い。それに対して300名以下の企業になると、人事の仕事をある程度理解しているためか、提言を含むような意見があるのが特徴である。私自身の経験からも、大企業になるほど人事部門は遠い存在であり、どのような仕事をしているのかは分かりにくいです。逆に、中小企業ほど人事部門と話をする機会が多く、その仕事の全部ではなくてもある程度理解することができます。
『人事部は見ている』(p.55)
前職では600人程度の企業でしたので、採用、研修、評価と色々な場面で人事部門とは話をすることが多く、人事部門の仕事は結構大変なだと思っていました。一方、現在のような大企業になると、何から何まで通達だけで済ませてしまうということばかりであり、人事部門の仕事ぶりを理解するのは非常に難しいです。
ちょっと面白いなと思ったのは、「社内での相性の問題を解決する奇策」(p.60)で、自分の希望する異動に関して、次のようなことが述べられている点です。
自己申告書には、次に行きたい部門や取り組みたい仕事の欄はあっても、「誰と一緒に仕事がしたい」とか、「誰とは一緒に働きたくない」などと書き込む欄はない。この後に、実際に思いついた奇策の詳細が書かれています。確かに、相性の問題は悩ましく、仕事の内容、ソフトウェア開発で言えばプロジェクトの内容よりも、誰と一緒にプロジェクトを遂行するかの方が働くモチベーションには大きな影響を与えると思います。
『人事部は見ている』(p.61)