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信頼残高へマイナスである指示 [プログラマー現役続行]

このブログを始めた頃に「40代、50代のプログラマー?」と題する記事を書いています。タイトルとしては、40代、50代ということなのですが、実は30代にも当てはまります。特に、30代後半です。

大学(大学院)を卒業して、10年以上が経過したら、30代後半になってきます。つまり、10年以上の経験があると期待される訳です。前述の記事の言葉を言い換えれば、次のようになります。
経験年数10年以上相応の問題解決能力、解決に向けての提案能力、あるいはトラブルなどの的確な説明能力を回りの若い人達は期待する。
当然、指示する側としても、そのような対応を期待する訳です。

ここで、注意しなければならないのは、同じ指示でも、新人への指示と10年以上の経験がある人への指示は、指示している側の「信頼残高」への影響が異なるということです。具体的な例で説明します。

あるエンジニアが担当しているソフトウェア開発に関して、進捗していると報告を受けたとします。「数日間、開発が進んでいるとあなたが報告しているソースコードは、きちんとサーバーのリポジトリへ毎日入れていますか。まさか、あなたの開発用PCにしか存在しないということはないですよね。」と尋ねたとします。

そこで、答えが、「まだ、開発が終わっていないので、私のPCにしかありません。」となった場合に、「会社に来てみて、PCが起動できなくなっていたり、あなたが病気になったりして出社できなくなったりした時に、あなたが開発が進んでいると報告したものが見つけられなければ、続きの作業を他の人ができないでしょう。毎日、サーバーのリポジトリに入れて帰ることができるようにしてください。」と指示したとします。

しかし、この指示を初めて本人に伝えた時に、新卒新人で経験が浅い人なら、信用残高はそれほど減ったりしません。次から気をつけてくれることを期待しての指示だからです。しかし、経験年数が10年以上の30代後半の人へ指示する場合には、話は異なります。その場合は、指示した時点で信用残高に対してマイナスに働いているのです。

それは、「できて当たり前のことが、できていないことを、わざわざ指示しなければならないレベル」という判断が働くためマイナスなのです。したがって、指示を守ったとしても、指示を受けた時点で信用残高へマイナスの影響を与えたということを認識する必要があります。

コードレビューや設計レビューでも同じようなマイナスの影響が発生します。指摘事項をきちんと修正していることで評価されるのは、初心者だけであり、経験年数が長い人に対して、基本的な事柄の指示であればあるほど、信頼残高に対してマイナスとなる指摘なのです。その場合、指摘事項にきちんと対応したということは高く評価されることにはなりません。

このような状況では、「指摘事項はきちんと対応している」だけでは不十分だということを認識する必要があるのです。前述の記事を再度引用すると、次のようになります。
この「回りの若い人達は期待する」ということに対する自覚がなくて、単なる一プログラマーということで指示された仕事だけをこなすのに精一杯だと、おそくら、指示された仕事もろくにこなせていないことになることが多い。

能力が高く評価されるというのは、相手の期待を越えた、例えば、110%の成果を出すことであり、自分が精一杯やったからという理由だけで高く評価されることはない。
年齢を重ねるごとに、基本的な事柄を指摘されたことが、信用残高が減ったことになったと認識する必要があります。

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