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勉強会を開催する [プログラマー現役続行]

最近、別々の会社で(偶然?)同じ話を聞きました。それは、会社で勉強会を開催できないということです。理由は単純で、会社への入館・退館として自動的に記録されている時刻と申請する勤務開始時刻(あるいは終了時刻)の間に開きがあるのはダメだということです。たとえば、30分以上の開きがあるのは認められないということです。

通常、このような開きは、絶対駄目ということはなく、正当な理由を申請して、それを上司が承認すればよいことになっていたりします。しかし、それさえも上司が手続き上面倒ということで、ダメだということが本当の理由のようです。しかし、そのような職場は、その上司そのものが勉強会を開催したり、参加したりしないということが実際には起きています。

拙著『プログラマー”まだまだ”現役続行』の第12 章「30 代、40代の人たちへ」の「勉強会を開催する」では、私自身は、次のように述べています。
勉強会を開催する

 設計レビューやコードレビューに加えて、若手のエンジニアが学習を継続する習慣を身につけさせるために、率先して勉強会を開催することが重要です。それは、業務外としての勉強会です。
 上司が継続して学習することを示さない限り、部下が自発的に学習をして、きちんとソフトウェアを開発してくれると期待するのは無理です。そのためには、率先して勉強会を開催していく必要があります。
 マネジャーや管理職になった後に主催する勉強会というのは、3種類に分類されます。一つ目は、若手のエンジニアに最低限学んでほしい事柄を選んで、それに関連した技術書を選んで開催するものです。二つ目は、実際に開発で使用されている技術に関する技術書を選んで開催するものです。その場合、自分が知らない技術であっても積極的に開催することです。三つ目は、自分が学んでみたい技術に関する技術書を選んで開催するものです。
 私自身、最低限これだけは学んでほしいという意図で、勉強会をいくつか開催してきました。コンピュータの基本的な仕組みの理解のための『Introduction toComputing Systems』、基本的なデータ構造とアルゴリズムの理解のための『Practice of Programming』(『プログラミング作法』)、Linux Kernel の仕組みの理解のための『Linux Kernel Development』、デザインパターンの理解のための『Head First デザインパターン』、オブジェクト指向設計の原則を学ぶための『アジャイルソフトウェア開発の奥義』、良いコードを書くための『Implementation Patterns』(『実装パターン』)や『Clean Code』(クリーンコード)などです。
 自分では実際にあまり使ったことがない技術であっても、現場のエンジニアに使わせたりすることがあります。そのような場合にも、その技術をきちんと学ばせるために勉強会を開催したりもしてきました。たとえば、JRubyを用いて開発をさせていたプロジェクトでは、Ruby言語をきちんと学習させるために『プログラミングRuby 言語編』の読書会を開催しました。当然、日々開発に使用している現場の若手エンジニアのほうがよく知っていたりするのですが、私が読んで疑問に思うことは、そのエンジニアに聞いて説明してもらったりもしました。
 もちろん、自分が興味ある技術に関する技術書の勉強会も行ってきました。
 マネジャーや管理職に昇進して、実際に自分が開発をする比重が減ったから、勉強会が主催できないとか参加できないということはありません。非業務で始業前に行うことは、管理職という立場であっても当然できるのです。
『プログラマー”まだまだ”現役続行』(p.240)

平日に自発的な勉強会を開催するには、会社の会議室を利用するのが便利です。会社の外で場所を探して勉強会を開催するのは意外と難しいです。そのため、会社で勉強会を開催してはいけないとなると、必然的に勉強会そのものが消滅してしまいます。

平日の朝に行う勉強会は、私自身は現在は開催していません。その理由は、開発拠点が多すぎて、参加希望者が地理的に分散しているため、それらの拠点を結んでの通信設備の準備などが面倒なのとホワイトボードに書きながらの議論がやりにくいからです。その代わりに、月に1回、土曜日に開催するようにしています。幸い、地域の住民にも公開している会社の施設があり、その施設の会議室を利用して開催しています。

要は、上司が「勉強会を開催する」あるいは参加するのであれば、上記の勤怠問題は、その上司がきちんと対処してくれると思います。勉強会に参加しない上司が、勉強会を実質的に禁止するような制度の運用を押しつけてくるようなソフトウェア開発組織では、ソフトウェアエンジニアの個々の成長だけでなく、組織の成長も期待できないかもしれません。

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