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ソフトウェアエンジニアとしての評価 [プログラマー現役続行]

拙著『プログラマー”まだまだ”現役続行』 では、ソフトウェア・スキル・インデックスとして以下の7段階を紹介しています。

初心者(1) ソフトウェア開発を行うには、プログラミングの基礎知識や、コンピュータに関する基礎知識が不足している
見習い(2) 指導を受けながら実践ができる
初級職人(3) 見習いレベルの実践はできるが、時々指導が必要である
中級職人(4) 必要な技術を仕事の上で自然に自動的に使っている
上級職人(5) 新たな技術も含めて自分で常に学習を行い、自然と実践できている
名人(6) 技術を完全に消化し、いつルールを破るべきか知っている。また、技術記事などを執筆している。さらに、中級職人以下の職人を上級職人にすべく、組織に対して教育・指導を行っている
匠(7) 専門書を著作し、講演し、技術を拡張する方法を業界に問う。一方で、より良い方法で職人を育成するための方法も探求している。

社内の評価というのは相対評価であり、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアパスを続けるためのモチベーションを維持するためには、外向きの活動が必要だということで、「名人」「匠」を定義しています。

このソフトウェア・スキル・インデックスを吉澤正孝さんと検討してまとめたのは、かなり前のことです。2007年に出版した『プログラマー現役続行』には掲載していますので、2005年か2006年に検討したのだと思います。

残念ながら、ここで定義されている「名人」「匠」のような活動をすることで社外からは評価されるようになっても、日本の多くの企業(特に大企業)では、社内からは評価されないかもしれません。その理由の一つは、名人や匠で定義している活動は、社内の評価基準に存在しなかったりするからです。もう一つの理由は、評価する側がそのような活動に関心を持たないからです。つまり、社外向けの著作物の内容を評価する側が読んだりしたことがないからではないでしょうか。実は、仮に評価基準が存在したとしても、後者の理由により評価されないかもしれません。

たとえば、ベストラー作家として何冊も著書がある人でも、その人を本当に評価するのは読者です。名前は知っていても、一冊も著書を読んだことがなければ、一個人として高い評価をすることはありません。これと同じで、企業内での評価は、評価する側がどれだけ関心を持ってその人の活動の内容やその人そのものを知っているかによって決まるのかもしれません。

結局のところ、社内の評価を気にしないで、外向きの活動と若手育成を行っていくことが「名人」「匠」の定義となります。
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