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書籍『アジャイル開発とスクラム』 [本]

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

  • 作者: 平鍋 健児、野中 郁次郎
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2013/01/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

3部から構成され、全部で10章から構成されます。

第1部「アジャイル開発とは何か、スクラムとは何か」は、平鍋氏が執筆されており、アジャイル開発およびスクラムが分かりやすく解説されています。普段、アジャイル開発の手法を取り入れて開発をしているのであれば、日々の開発活動と対比しながら読むことができると思います。完全なウォータフォール開発しか経験したことがない人にとっては、なかなかピンとこないかもしれませんが、アジャイル開発とウォータフォール開発の違いを理解することができると思います。

「スクラム」という言葉は、本書の共著者である野中 郁次郎氏が竹内弘高氏と共著した"The New New Product Development Game"(Harvard Business Review, 1986)で用いられた言葉であることも紹介されています。アジャイル開発のスクラムの生みの親であるジェフ・サザーランド氏は、本書に掲載されているインタビューで、ソフトウェア開発のためのより良い組織構造を調査するプロジェクトにおけるこの論文との出会いを次のように答えています。
チームワークと生産性に関する数百の論文を読み終えたところで、私たちが探していた新しいソフトウェアの作り方に、最も影響を与えることになる論文に出会った。それが、竹内氏と野中氏の「The New New Product Development Game」だった。私たちがこの論文に出会ったとき、ここに書いてあることこそが探していたチーム構成とマネジメントの考え方である、と全員が納得したのを覚えている。
『アジャイル開発とスクラム』(p.222)
1996年に書かれた論文の主旨としては、次のように述べられています。
新製品開発という速さと柔軟性が求められる場面では、成果物を紙に書き、それを壁越しの別のチームに渡すようなリレーをしていてはだめである。様々な専門性を持った人が一つのチームを組み、ラグビーのように開発の最初から最後まで一緒に働くことが求められる。人とチームを重視し、彼らに自立的に動ける環境を与えることでブレークスルーが起こりやすくなると同時に製品化までの時間が短くなるというのがこの論文の主旨だ。
『アジャイル開発とスクラム』(p.199)
元の論文とアジャイル開発を比較して何が本質なのかが、第3部「アジャイル開発とスクラムを考える」として野中氏と平鍋氏により解説されています。

第2部「アジャイル開発とスクラムを実践する」では、リクルート、楽天、富士通でのアジャイル開発の導入事例が紹介されています。

本書は、副題に「顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント」となっているように、現場のエンジニアだけなくマネジメント層にも向けた内容となっています。より優れたソフトウェア開発組織を作りだし、迅速な製品開発を行うために、アジャイル開発がソフトウェア開発における大きな流れであることを理解するのに役立つ一冊と言えます。
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