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組織としての長期的学習への投資 [プログラマー現役続行]

神様のサービス 感動を生み出すプラス・アルファの作り方 (幻冬舎新書)

神様のサービス 感動を生み出すプラス・アルファの作り方 (幻冬舎新書)

  • 作者: 小宮 一慶
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/07/28
  • メディア: 新書

この書籍では、サービスとして優れている色々な会社が紹介されているのですが、その中で「ホンダカーズ中央神奈川」に関して、詳しく説明がされています。ホンダカーズ中央神奈川は様々な活動を行っているのですが、その活動の1つとして次のことが紹介されています。

⑥月に1回、読書感想文を提出する
 同社では、一ヶ月に一度の割合で、従業員が読書感想文を書き提出するという試みを20年も継続して行っています。会社のお金で内容の良いビジネス書などを購入し、営業マンはもちろんのこと、サービススタッフや事務職員など、すべての従業員が同じ本を読み感想文を提出しています。それを会長が添削し、全員が提出した読書感想文をファイルに綴じて、いつでも誰でも読めるように保管します。本代だけで年間1000万円はかかるそうです。
 社員は、最低でも年間12冊の良い本を読むことになりますから、10年続ければ120冊になります。良書を読むことは、人間の価値観を見つめ直す契機になりますし、人生の原理原則を学ぶこともできます。そういう本を何十冊、何百冊と読んできた従業員のいる会社と、まったく読まない従業員のいる会社では、長い年月の間には大きな差が出てくるのは歴然としています。
 読書をすることが、今すぐ業務に役立つわけではありません。即、売り上げに直結するわけでもありません。でも、読書によって少しずつ人間力を高めていくことは、長い目で見れば、真の「お客さま志向」を実践できる社員の育成につながっていくのです。だから同社は年に1000万円かけてでも、従業員に本を読ませているのです。
『神様のサービス』(p.174)
ソフトウェア開発でも、「会社」を「ソフトウェア開発組織」、「従業員」を「ソフトウェアエンジニア」、「本」を「技術書」と読み替えてみると全く同じことが言えます。読書をすることに関して、Steve Maguireは、『Debugging the Development Process』の中で次のように述べています。
Read Any Good Books Lately?
新しい知識と見識を得るために、私は常に本を読んでいます。一冊の良い本を選べば、他の人が何十年 もかかって修得してきた見識を、数日で得ることができます。それなのに、なぜ、何年もかかって試行 錯誤により学ぶのですか。非常に大きな差ですよ。もし、チームのメンバーが一年間に6冊の見識深い 本を読んだとしたら、そのことがメンバーの仕事にどのような影響を与えるか想像してみてください。
--Steve Maguire, Debugging The Development Process

Debugging the Development Process: Practical Strategies for Staying Focused, Hitting Ship Dates, and Building Solid Teams

Debugging the Development Process: Practical Strategies for Staying Focused, Hitting Ship Dates, and Building Solid Teams

  • 作者: Steve Maguire
  • 出版社/メーカー: Microsoft Pr
  • 発売日: 1994/08
  • メディア: ペーパーバック

継続的な学習への投資というのは、その効果を数値で求めたら、答えるのは困難です。そのため多くの企業では経費削減という名目で書籍の購入を控えたりします。確かに、現場が必要だからと言う書籍を単純に購入しても、本当に読まれるかどうかは怪しかったたりします。むしろ、勉強会を行うのであれば、勉強会が終了して最後まで読み終えた人達に対して、本代を補助してくれる方が良かったりするかもしれません。

私自身は、会社補助での勉強会を主催したことはほとんどないですが、ソフトウェア開発組織として学習への投資を考えるなら、たとえば、業務時間外での勉強会への本代の補助や会議室などの施設利用の許可など安い投資でありながら、長期的には効果が高いものだと思います。

しかし、組織として長期的な学習へ投資する提案に対して、「効果を数値で示せ」とトップが言うと誰も提案できなくなります。その結果、組織としては「人材の育成が重要」だという「効果が測るのが困難な目標」を掲げているにも関わらず、数値で測れる活動しか求めず、地道で長期的な学習への投資は行っていなかったりします。
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