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書籍『知識労働とソフトウェア開発』 [プログラマー現役続行]

知識労働とソフトウェア開発 (技評SE選書)

知識労働とソフトウェア開発 (技評SE選書)

  • 作者: 荒井 玲子
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2010/09/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

著者の荒井玲子さんから、直接自宅に送られてきました。この本は一人で読むよりは、会社の中で読書会をして、自分達の開発状況と照らし合わせならが読まれるとよいかと思います。内容の紹介は省略しますが、「あとがき」に次のように述べられています。
プロジェクトの成功要因の根底には、プロジェクトマネジメント技術やソフトウェア開発技法などの「技術」だけでは説明のつかない部分が、たしかに存在しています。やはりプロジェクトは「人」であり、ソフトウェア開発はピープルウェアなのです。「参加してよかった」というプロジェクトが増えるほど、人材はより多く、より効果的に育成されます。これまで参加したプロジェクトのうち、「参加してよかった」と思えるプロジェクトはいくつありますか?あるいは、プロジェクトメンバーが「参加してよかった」と思ってくれるプロジェクトをいくつつくりましたか?
『知識労働とソフトウェア開発』、325頁
自分自身を振り返ってみると色々なプロジェクトに従事してきました。大学時代から富士ゼロックス在籍までを振り返ってみると以下の通りです。
  • 大学4年~修士2年: 研究室のプロジェクトでしたが、HOLENETと呼ばれるシステムの開発です。詳細は、書籍『マイクロコンピュータ ネットワークアーキテクチャの基礎』の第4章「事例紹介HOLEMENT」に書かれています。私自身は、5セットの通信ボード(Z-80, 2KB ROM, 64KB RAM, HDLC/SDLCコントローラ、DMAコントローラ、割り込みコントローラ)を組み上げて、ハードウェアのデバッグを行い、ROMに基本ソフトウェアを書き、RAM上で動作する通信プロトコルスタックの実装をZ-80アセンブリ言語で、ほぼ一人で行っていました。私にとっては、非常に楽しかった最初のプロジェクトです。
  • 1984年~1986年: 就職して本格的にC言語を学び、Unixを使用しはじめた頃です。Fuji Xerox 6060 Workstationと呼ばれる製品開発でした。UnixクローンであったIdrisを採用し、今日のUnixで当たり前になっている機能(共有メモリー、共有ライブラリー、メッセージ通信、etc)を追加していました。私は、XNS(Xerox Network Systems)と呼ばれるプロトコルスタックの設計・実装を担当していました。最初は、出てきたばかりのチップ化されたEthernetコントローラのドライバーを書き、その上で動作するトランスポートプロトコル層の設計、開発サブチームのリーディングを行っていました。製品は、1986年5月に発売になったので、約2年弱の短期のプロジェクトでしたが、自分自身も成長したと思います。製品開発だけでなく、開発効率を向上するための各種ツールを作り始めたのもこの頃です。
  • 1985年~1988年: Fuji Xerox 6060 Workstationを開発している最中で、社会人2年目の時に課長に呼ばれて開発するように指示されたのが6060 Workstation上で動作するIBM 3270 端末エミュレータです。製品として販売するのではなく、社内のサポートシステム(FWSS)のオンライン化のための端末として開発したものです。私を含めて社員2名、協力会社数名で私がリーダで開発しました。当初の開発は2年弱で終わったと思いますが、その後の機能追加は私一人で行っていました。サポート部門と様々な調整を行いながら、虎ノ門営業所でのオンライン・トライアルから始まり、全国展開までと大変でしたが、楽しく良い経験をしたプロジェクトでした。当時のCMの動画はこちらです。
  • 1988年11月~1991年4月: 私にとって初めての海外生活を送ったプロジェクトです。Xerox StarワークステーションをSunOS上に移植するプロジェクトです。その中で私が担当したのは、VP Documentと呼ばれる文書作成ソフトウェアの移植とチームのビルド担当です。米国のエンジニアと一緒に仕事をする初めての機会でした。言葉の問題もあり、色々と大変でしたが、自分自身も成長できたプロジェクトでした。
  • 1991年5月~1993年4月: Xerox PARCで始まったプロジェクトへ技術者として参加しました。同じチームの研究者達は優秀であり、私自身として実績を残すのに必死な部分もあったかと思いますが、非常に楽しいチームでした。
  • 1993年5月~1996年4月: Xerox PARCでの研究成果を製品化するプロジェクトで、日本に帰国してから従事したものです。Fuji Xerox DocuStation IM 200 / AS 200として製品化されたものです。このプロジェクトでは、白黒でしたがコピー/Faxの機能を持つデジタル複合機をSolaris 2.3上でC++で開発しました。その中で、スキャナー/プリンター部分のデバイスAPIの仕様策定および実装、その上で動作するジョブ制御のアーキテクチャの設計および実装を担当しました。プロジェクトの後半ではビルドも担当していました。このプロジェクトで学んだものとして大きいのは、C++言語、マルチスレッドプログラミングです。また、このプロジェクトで開発効率を上げるために取り組んだのは、夜間自動ビルドです。それと、システムを安定化させるためのメモリ管理モジュールの導入です。コードも私一人で約7万行ぐらい書いた記憶があります。
    このプロジェクトでは、多くの開発者が30代ということもあり、飲み会が非常に多かったです。最低でも週に2回ぐらいは行っていたと思います。
以上が、大学から富士ゼロックス在籍までの従事したプロジェクトです。幸運なことにすべて「参加して良かった」プロジェクトです。私を含めて、参加したすべての技術者がプロジェクトを通して成長したと言えるものだったと思います。
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