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技術はできて当たり前の管理職(2) [プログラマー現役続行]

以前書いた「技術はできて当たり前の管理職」では、管理職になる前から学習する習慣を失っている管理職という話を書きました。そして、先日書いた「ソフトウェアエンジニアの成長カーブ(2)」でも、そのパターンの場合の成長曲線(実際には、停滞曲線ですが)を描いています。

管理職になったから、あるいは、管理職だから、学習することは不要にはならないと思います。もちろん、技術的な学習をしなくなったとしても、その他の経営や開発組織の運営に関連する学習をされる人もおられると思います。

実際に自分で直接手を動かして開発行為をしなくても、技術的な学習は行うことができます。それについては、「技術はできて当たり前の管理職」は、私は次のように述べています。
たとえば、オブジェクト指向プログラミング言語に関して言えば、1980年代にはC++が登場し、1995年にはJavaが登場しています。そして、もうすぐ2009年は終わろうとしています。テスト駆動開発、継続的インテグレーション、ペア・プログラミング、リファクタリングなどは、ソフトウェア業界では常識化しつつあります。そして、多くの書籍がそれらについて書かれています。会社で使用している技術・手法だけでなく、日常的に学習を継続し、書籍に書かれていることが本当に良いのかとか上手くいくのかということは、実際に部下にやらせてみるのが管理職だと思います。

ところが、現実は逆で、若手の方が色々なことを勉強していて、新たな手法を導入しようとすると、勉強していない管理職に対して「分かりやすく説明する」ことが求められたりします。
自分が知らない事柄が話しに出てきた時に、勉強している部下から説明してもらうことそのものは、問題ではないです。その場では、自分が知らないことを、知っている人から教えてもらうことに過ぎませんから。

しかし、初心者が何も勉強せずに、いつまでも質問して説明してもらうことで物事を理解しようとする場合を考えれば分かると思いますが、問題は、部下から説明を受けたことをきっかけに、その事柄をきちんと理解するために自分自身も勉強を始めるかどうかです。

部下から受けた説明を通して理解したことで、自分は理解していると思うのはおそらく誤りです。たとえば、Java言語の初心者本を読んだだけの人がJavaでプログラミングをして、何か分からないことがあれば都度知っている人に聞いて開発を続けたとしても、狭い範囲しか理解していないのは明らかです。

1つの物事を理解するのに何十時間、何ヶ月、あるいは、何年も要したようなことを、数分で理解できるように説明するのは無理です。ましてや、その説明を聞いて、自分は理解したと思うのは誤りです。たとえば、私自身はJava言語を独学した時に、一ヶ月ぐらい「インタフェース」を理解できませんでした。じゃ、その後は、十分に理解していたかというと、そんなことはないと自覚したのがJava言語を使い始めて4年も経過し、『プログラミング言語Java第3版』の翻訳を終えた頃です。自覚したきっかけは、Joshua Blochの『Effective Java』を読んだことでした。

本を読めば書いてあることをいちいち聞いてくる人に対しては、この本を読んでくださいと言えばいいのですが、残念ながらそれが言えるのは、若い人達に対してか、勉強熱心な人に対してだけです。(時間を無駄にしないように)「どの本を読めば理解できるか本を紹介してくれ」と言ってくる管理職の人は、日本全体のソフトウェアの開発組織の中にどの程度おられるのでしょうか。残念ながら、非常に少ないのではないでしょうか。
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