書籍『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』 (2) [プログラマー現役続行]
「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書 439)
- 作者: 酒井穣
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/01/16
- メディア: 新書
昨日紹介した本書ですが、カテゴリーを「書籍」ではなく、意図的に「プログラマー現役続行」にしてあります。ソフトウェアエンジニア向けに書かれている訳ではありませんが、内容としては、そのままソフトウェア開発にも当てはまる部分が多いです。
「はじめに」の前に次のように書かれています。
人材の育成においては、師匠となる人が(1)弟子が破るべき殻(=超えていくべき目標)を明らかにし、(2)弟子がその殻に向かって自発的にアタックするための情熱を刺激しつつ、(3)弟子が殻を破るための手助けをしてあげることが必要である。実は、この正しい師匠を見つけるのは、学校を出て就職して働き始めたばかりの人には簡単なことではありません。なぜなら、会社の中で、仕事もできて人材育成にも優れて、かつ、弟子を受け入れて指導する人は非常に少ないと思います。さらに、そのような人がいたとしても、会社に入ったばかりの新人には、誰が良き指導者で、誰がそうではいかを判断できないと思います。その点については、拙著『プログラマー現役続行』の中で、私は次のように述べています。
自分をあきらめない人材であれば、誰でも必ず高みに到達できる。しかしそのために人は、正しい殻と、正しい師匠を見つけなければならない。
『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(p.3)
初心者に対して、プログラミング言語、ハードウェアの知識、データ構造とアルゴリズムを教えるには、「本を読んで勉強しなさい」といっても無理があり、かなり強制的に学習させる必要があります。社会人となって、ソフトウェア技術者として成長していくための良き指導者を見つけるためには、会社の中だけに目を向けるのではなく、会社外の世界にも目を向けて行動しなさいということが、過去何回か紹介している『Apprenticeship Patterns』の「Find Mentors」(良き指導者を見つける)には述べられています。
また、プログラムが読みやすく書かれているかどうかは、常にチェックして、指導していく必要があります。そのために、しっかりとした中級職人以上のソフトウェアエンジニアが、直接教育や指導を行う必要があります。
初心者自身は、自分を指導する人が、きちんと指導してくれるレベルの人なのかどうかを判断することはできません。したがって、実際には、初級職人の域を出ていないが経験年数だけが長いというような人に、初心者の教育やOJTを担当させないようにしなければなりません。
間違ってこのような人をトレーナーとしてしまうと、初心者はいい加減な知識のまま、本人は仕事をこなせるようになったと錯覚するだけで、たかだか、中級職人の域で止まってしまう可能性があります。
『プログラマー現役続行』(p.40)
Apprenticeship Patterns: Guidance for the Aspiring Software Craftsman
- 作者: David H. Hoover
- 出版社/メーカー: Oreilly & Associates Inc
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: ペーパーバック
(こちらは、私が翻訳中です。私の日本語力のなさに悪戦苦闘しています・・・・)
2010-01-17 18:17
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